僕にキが訪れる

「これ、最近のです」


自分が間引いた芽を医者に差し出す。

これも貴重なサンプルになるらしい。

僕にはどこにでもあるただの植物にしか見えないのだが。


「あぁ、ありがとう」


笑顔、とは言い切れない微妙な表情で彼はそれを受け取った。


「前回のものより少し成長が進んでいるね」


そうなのだろうか。

特に注意を払っていないのでその変化に気付かない。