僕にキが訪れる

死まで秒読み段階に入っているというのに、今更そんなことを考え直している自分が非常に滑稽だった。

どうしてそんなことを考えるようになったのか。

単純で明確だ。

今まで誰も踏み込んでこなかった自分の領域に、あっけなく踏み込んできた存在がいるからだ。

人と深く接することのなかった自分にとって、それが少し物珍しかった。

そしてそれが、それほど気分の悪いものではなかった。

ただそれだけだ。

そしてそれ以上になることはない、決して。