僕にキが訪れる

気がつけば、泣いていた。



悲しいんじゃない。



幸せだった。



幸せで、あまりに幸せで。

こんな僕が、こんな幸せを感じていいのかと。

涙が、勝手に溢れ出していた。


「ちが、うんだ……」


泣きながら、それでも僕は口を開いた。

本当のことを言おうと。

心を開いてくれる、この人に。

こっちから歩み寄ろうと。