僕にキが訪れる

ダメだ、と、再度警告の声が頭に響く。

また誰かを傷つけることになるんだぞ、と。

僕の中の何かが声を上げる。



けれど。




ここで嘘をつくことだって、彼女を裏切ることになるじゃないか。




それに、何より。

やっぱり、僕は、欲してしまっていた。


安らぎを。


温かい、優しさを。


ずっと、ずっと。


欲しかったものは、それだった。

壁を作っているのだから、現れるわけはないと思っていたのに。