僕にキが訪れる

「あー、もうこんな時間」


時計を見るともう正午を20分ばかり過ぎていた。


「よしよし、それじゃーお弁当の時間といきましょーかねっと」


持っていた手提げバッグの中から包みを2つ取り出す彼女。

余程の自信作なのだろうか。

顔には自然と笑みが滲み出している。


「今朝早く起きて、頑張ったのよねぇ……いやぁ、苦労したわ」


「普段からこういうの作ってるの?」


「暇を見てちょくちょく。料理するの好きだからさ」


「それはいいお嫁になれるね」


「え、や、やだなー。それは味を見てから言ってよ」


照れたように笑う委員長。

僕は彼女から包みを1つ受け取り、中身を取り出した。

蓋を開けると、そこには玉子焼きやウィンナーと言った、色とりどりのオカズが入っていた。

無理矢理注文させられたから揚げも、ちゃんと入っている。

その数がやたらと多く、5つも入っていた。