僕にキが訪れる

他愛のないやり取り。

けれど、僕が今までしていなかったこと。

知らなかったこと。

笑い合うことが、こんなにも心地よいことだったなんて。

全然、知らなかった。



……あぁ、そうだ。



僕は今、確かに楽しさを感じていた。

今までにはなかった。

誰かと会話していても、どこかで空々しさを覚えていた。

確かに目の前で会話しているというのに、壁があった。

その壁を作っていたのは、自分自身だったということは、よくわかっていた。

けれど、別に寂しいとか、そんなことは思っていなかった。

そんなもんだと思っていた。