その言葉に疑問を持ったあたしは、急いで笹山さんを見る。
笹山さんはあたしの視線に気付くと、ニコッと笑ってハンドルを握った。
「琴弥様、尾行は止めましょう。
私、お腹が空きましたので」
「…へ?」
突然の笹山さんの言葉。
あたしが言い返す間もなく、リムジンはゆっくりと走り始める。
笹山さんは呑気に鼻唄を歌っていたりしていて、なんだか珍しいモノを見ている気持ちになる。
「さ、帰りましょう」
「ちょっ…ささや…!」
突然の行動が理解出来ず、あたしが笹山さんの方を勢い良く向いた瞬間。
「…え?」
あたしの抵抗する言葉が止まった。
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