あたしの涙が止まるまで、茜はあたしの側にずっと居てくれた。
優しい言葉を何回もかけてくれた。
そんな茜が、一段と大好きになった気がした。
「…というか、なんで茜はあたしが岬サマと何かあったって分かったの?」
涙が止まりかけた時、あたしは茜に問いかけてみた。
あたしの質問に、茜は優しく微笑んだ。
「だって、岬サマに呼び出されてからの琴弥、何だかおかしかったんだもん。
それに、まず笹山さんの事で何かあったんなら、岬サマが何か言う必要ないじゃん。
笹山さんが琴弥に直接言えばいい話なんだし」
「琴弥は鈍感だよね」と付け足した茜は、あたしの机に置いてあるシャープペンシルを触りながら言った。
茜って凄く人を観察してるんだね。
「それよりさ…」
あたしが頬杖をつこうとしていると、なんだか遠慮がちな茜の声が聞こえてきた。
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