あまりの岬サマの怖さに、あたしの声は喉から出てくれない。
そんなあたしをよそに、岬サマは仰向けに倒れ込んだあたしの身体の上に跨がってきた。
信じられない行動に、あたしの脳みそは着いて行かない。
岬サマはあたしの顔の横に腕をついて自分の身体を支えると、真剣な表情であたしを見つめてきた。
「…み、岬サマ」
「なぁ、琴弥…」
滅多に呼ばないあたしの名前を呼ばれて、あたしの心臓はうるさく動き始める。
…止まれ、あたしの心臓。
諦めたはずの想いが、元に戻りそうで怖かった。
「辞めんな。
お前はずっと俺の事を好きでいろ」
岬サマの言葉と同時に、タイミングよく一限目の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
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