「笹山、今日から俺迎えいらねーから」



「「…はい?」」




岬サマがこんな事を言い出したのは、リムジンがマンションを出発してから少し経った頃だった。


信じられない岬サマの発言に、あたしと笹山さんの声がしっかりと重なる。




「岬サマ、いきなりどうしたの?」



「うっせーよ。

お前には関係ねぇ」




普段言い出さないような事を耳にしたあたしは、心配になって岬サマに問い掛けてみるけど…まだ現実は甘くなかった。




「俺と一緒に住んでるからって、あんまりいい気になるな」




冷たい瞳があたしを捉える。


…ズキン、とあたしの胸が悲鳴をあげ始めた事がはっきりと分かった。




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