閉じていた目を、そっと開ける。 扉の向こう側には、黒髪でスーツ姿の人がいた。 机に向かって、必死に何かを書いている。 岬サマのお父さん・亨さんは、あたし達を使用人だと思い込んで話をし始めた。 「…何だ?」 「俺、岬…」 岬サマが口を開いた瞬間、亨さんの手の動きが止まった。 そして、ゆっくりとあたし達を見るように振り返った。 …実物だ。 あの有名弁護士の、速川亨だ。 動悸が激しくなりながらも、ゴクリと息を飲んだ。 .