「お母さ―――」
「ゴメン、琴弥。
もう飛行機の時間だから行かなくちゃ」
お母さんはあたしの言葉を遮ると、悲しそうな笑みを浮かべた。
そんなお母さんの表情を見ると、なんだか泣きたくなってくる。
「琴弥、元気でな」
「岬君と仲良くね?」
あたしがコクン、と頷いたのを確認すると、あたしの両親は忙しそうに旅立って行った。
いつまでも玄関の方を見つめるあたしに、笹山さんが声をかける。
「と言う訳なんです、岬様に琴弥様。
お二人が同居する間は、私・笹山がマネージメントをさせていただきます」
スッと紳士らしく頭を下げる笹山さん。
岬サマは怖い表情をして口を閉ざしたままだった。
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