あたしが追いかけている事を知らない二人は、そのまま近くの住宅街に入っていく。
人混みが少なくなって、より岬サマが鮮明に見えるようになる。
あの二人が手を繋いでいない事が、何よりも救いだった。
あたしは立ち止まって空を見上げた。
月が二人を照らしているんだ。
仲良さそうなあの二人を…。
そう考え出すと、更に涙は止まらなくなる。
あたしの気持ちとは裏腹に、あの二人はどんどんと奥に進んで行く。
「…追いかけなくっちゃ」
また無意識に、足が動いた瞬間だった。
「何しとんねん!琴弥ちゃんっ…!!」
「きゃっ…!!」
あたしは誰かに肩を掴まれて、身体のバランスを崩した。
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