しかも、岬サマの隣を歩く女の人にも見覚えがあった。
あの人は…
前にマタニティショップで見かけた、女の人。
岬サマの…彼女だった。
少し照れたように笑う岬サマ。
岬サマの横をくっついて歩いている彼女。
…あたしには入る事の出来ない、二人だけの世界だった。
いつから岬サマはあんな表情をするようになったの?
聞きたくても聞けない事ばかりが、あたしの脳裏に浮かび上がってくる。
いつしか、あたしの目からは涙が零れ落ちていた。
どれだけ拭っても…また涙は溢れてくる。
あれ程、泣かないって決めたのに…。
やっぱりあたしは弱いままだった。
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