身体中を巡る血液が騒ぎ出す。
心臓が煩くなっていくのも分かる。
あたしの足は無意識に、その人を追いかけていた。
…ダイ君の事はすっかり頭の中から消え去っていた。
それくらい、あたしの中でのショックが大きかったという事。
見失わないように…
見失わないように…
あたしは必死に追いかける。
すれ違うカップルや家族連れの視線なんて気にならなかった。
「ママ、あのお姉さんどうしたのかな?」
不思議に思う子供にも反応しなかった。
それくらい、必死になって追いかける。
あたしが見たのは…
女の人と歩いている、岬サマだった。
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