状況について行けていないあたしは、そっと父と母の方を盗み見る。
だけど、二人の表情は戸惑いひとつなく、どちらかと言うと、この状況を楽しんでいるようにも見える。
…さすがあたしの親だ。
「琴弥様、こちらへ」
「へっ…!?」
突然笹山さんに呼ばれたあたし。
笹山さんは微笑みながら手招きをしている。
戸惑いながらも、あたしは笹山さんの元へと急いだ。
「こちらは岬様と同じ高校に通っていらっしゃる、百瀬琴弥様です」
岬サマに向かって、突然あたしの自己紹介を始めた笹山さん。
あたしはとりあえず、小さな声で「こんにちは…」と呟いた。
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