こんな事だったら、昨日一日で風邪を治すんじゃなかったよ。


なんだか損をしたような気分で、あたしは家を出た。






「じゃあ行ってきます!」




いつものように公園でリムジンから降りると、足早に岬サマ達は去って行く。


あたしはリムジンを見えなくなるまで見送ると、深呼吸をして前へと進み出した。




「…昨日の岬サマ、もう一度見たいなぁ………」




ぽつり、と呟いた声は、思いのほか辺りに響いて、あたしは思わず口を塞いだ。


…今の言葉が聞こえてたら、間違いなくあたし死刑だよ。



あたしは少し前を歩いている男子を追い抜かして、ダッシュで学校へと向かった。




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