「岬サマって、年下のはずなのに全然大人びてるよね」



「っせーよ。つか、琴弥が子供なだけじゃね?」



「あたし子供じゃない!」




ムキになって岬サマの背中をポコポコ叩くあたしに、岬サマは無言で前を見つめていた。


…あたしはそんな岬サマに気付かずに背中を叩き続けていた。




段々と強さを増す雨。

あたしは雨に身を任せて、気付かれないようにそっと岬サマの背中に頬を付けた。




もう迷わない。

あたしは岬サマに恋してる。



だから、決めたの。


いくら傷ついても、あたしは岬サマを想うって。

例え岬サマに子供がいたって、あたし一人が想うのは自由でしょ?




「…だいすき」




そんな決心を含んだ言葉は、雨の音に消された。




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