岬サマに見られた事が急に恥ずかしくなり、あたしは急いで立とうとした。
…が。
「うわっ…!!」
「お前は黙って傘さしてろ。
どうせ足でも捻ってんじゃねーの?」
コケたはずのあたしは、あっという間に岬サマの背中の上にいた。
この体勢って…
「なっ…何して!」
「何っておんぶに決まってんだろーが。お前トロいから連れて帰ってやるよ」
そう言う岬サマはあたしのびざ裏をしっかりと持つと、フッと笑って歩き出した。
密着するお互いの身体。
たまにしか見る事の出来ない岬サマの笑顔。
全てに反応してしまって、あたしは身体を縮こませてしまっていた。
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