そのまま寝てしまったあたしは、夢を見た。
とても嬉しくて、幸せな夢。
岬サマがあたしの手を握ってくれて、微笑んでくれて、優しくしてくれた。
「琴弥」とあたしの名前も呼んでくれて、今の不安を掻き消すかのように抱きしめてくれた。
…でも、それは夢。
現実なんかではない。
あたしが目を覚ました時にはもう既に朝だった。
当然の如く、隣に岬サマがいるはずがない。
その事を実感すると、身体が鉛のように重くなる。
あたしは溜め息をつきながら、学校に行く為に制服を準備し出した。
夢は自分の願望を表すって、誰かから聞いた事がある。
今見ていた夢は、まさにその通りだ。
…あたしの、願望。
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