あれから数時間後。 岬サマはいつもと変わらぬ様子でマンションに帰って来た。 「お帰りなさいませ、岬様」 「ああ…」 疲れきった表情を見せる岬サマに、あたしは無言でご飯を用意する。 正直、誰とも口を利きたくなかった。 そんな心境だからこそ、この雰囲気に触れていたくなかった。 「笹山さん。 あたし、疲れたんで部屋に戻りますね」 「大丈夫ですか?琴弥様」 心配そうな表情を浮かべる笹山さん。 岬サマは、そんなあたしをチラッと見た後、無言でご飯を食べ始めた。 .