その日のうちに女性は二人を迎えに来た。


これで桜家とはお別れ。


寂しい気持ちになる二人。


「長い間二人がお世話になりましたね」

「いえいえ、貴女の頼みは断れませんから」

「さぁ、帰りますよ。真白、真冬」


差し出された手。


かつては受け取らなかった。


受け取れなかった。


恥ずかしそうに真白は手を伸ばした。


だが、真冬の方が早く手を掴んだ。


チラッと女性の顔を見ると静かに微笑んでいる。


「王子に姫。二人とも精一杯頑張って下さい」


それだけ言うと三人は桜家を去った。


家の前に止められていた車に乗り込みドアを閉める。