「俺はさ、莱ちゃんに優羽のこと思い出してほしい。……けど」


――和之の気持ちは微妙なところで揺れているんだと思う。


矢沢優羽という存在を忘れて欲しくない気持ちと


「莱ちゃんは今、笑ってる。……それに」


――莱に笑顔でいて欲しいという気持ちと


「莱ちゃんが優羽のこと思い出したら、希莉はどうなるんだよ……」


――ぼくが心配で仕方ない気持ち。


両ヒジをついて頭を抱える和之。


和之は優しすぎる。


こんな嘘つきのぼくの心配をするとか、優しすぎるんだって。


「和之、話の内容暗くね?面白くて楽しい話をしねぇか?」