“あたしの彼氏……?”


“そう、莱の彼氏だよ”


ぼくは2年間ずっと、莱を騙している。




「莱とつき合って3年か~。早いな」


嘘の言葉を並べながら、莱と視線を合わせて笑ってみせた。


微笑みから満面の笑みになる莱。


風が優しく吹いて、彼女の染められた金の髪がフワッとなった。


髪で隠れていた耳元が露わになる。


「……」


さっきまで緩んでいた頬の筋肉が一瞬で固くなった。


莱の耳たぶで深い緑色の石のピアスが、太陽の光で輝いていたから。


――あのピアスは多分、矢沢からもらったもの。


矢沢の記憶がなくても、莱はピアスを大切にしている。