莱が部屋からいなくなると急にシーンと静かになる。
ぼくは彼女が来るまで暇つぶしに部屋の中を歩き回った。
窓、ベッド、タンス……。
ここ本当に女の部屋?って思ってしまうくらいシンプル。
ドアから1番離れたところに学習机があるけど、そこも本当にキレイで、何もない。
棚に本が並んでいるだけ。
――どんな本を読むんだろう?
ふと、そんなことを思った。
棚に並べられている本の背表紙に指を置いて見ていくと……ケータイ小説が多い。
やっぱり女はケータイ小説が好きだな。
……。
……あれ?
この本、背表紙にタイトルが書かれていない。
棚の1番左端にある本の背表紙は、水色の背景に水玉がいくつか描かれているだけ。