これはメールの着信音。


ぼくはポケットの中からケータイを取り出し、メールを開いた。


「莱……?」


メールは莱からだった。


《渡したいものがあるから、今からあたしんち来てね(≧ω≦)》


……渡したいもの?


しかも“今から”って、そんな急ぐ用事?


「希莉~?どうするんだ?」


和之は、伝票を透明なプラスチックの筒から取って、ペラペラとさせながら聞いてきた。


「あっ、ごめん。今日はぼくがおごるよ。伝票そこに置いてて」


ケータイを持ってる手じゃない方の手で、テーブルの端を指差した。


「マジで?じゃあ、次は俺がおごるからな」


ニコッと笑って和之は、伝票をテーブルの端に置いて店を出た。