緩やかな風が流れ、月の髪をサラリと撫でる。 少し緊張している私から視線を逸らし、月は落ち着いた声で話し始めた。 「羽生さんたちは、俺と妹が異母兄妹だと思っているが、本当は違う。 異母兄妹ではないんだ、正確には」 月は一旦言葉を切り、空を仰いだ。 まるで、妹さんの面影を求めるかのように。 「正確には、父親も一緒だ。 正真正銘の兄妹だ」 そしてそっと月は目を閉じた。