「ならなんで……」 ぽつりと呟いた月に、私は意を決して言った。 「月が……好きだから」 月は少し目を見開いて、驚いた顔をしている。 その中に嫌悪の表情がないことに、私は少し安堵した。 「ありがとう。 でも俺は、明日香が考えているようなヤツじゃない」 ありがとうと言われたことは嬉しいけど、そう言った月はとても痛々しくて、私は何も言えなかった。