「明日香って、お前にぴったりな名前だな」 不意に言われた言葉に、私は一瞬、何を言われたのかわからなかった。 「明日が香る、だろ?」 そう言われてやっと、自分の名前のことを言ってるんだと理解出来た。 「妹が死んでからの俺には明日なんてなかったし 明日が来ると感じられることもなかった。 でも今、明日香から明日を感じる。 ……未来を感じる。 俺が未来を生きるのを、妹は許してくれるかな……?」 月が私を見つめる。 私は静かに頷いた。