「ドアが開いている……」 月の病室のドアが、不自然に開いていた。 私は胸騒ぎを覚え、月の病室へと勢い良く入って行った。 「月!?」 病室の中は、特に変わりがないように思えた。 私の呼び掛けにも気づくことなく、月は規則正しい寝息をたてている。 安堵の息を漏らした私の背後に、気配を感じたが、 マスターだと思った私は、振り返らずに声を掛けた。 「月、よく寝てる……」 「そうだねぇ~」 間延びした声と共に、私の首元にヒヤリとした金属があてがわれた。