私たちは病院を出た。 ふと見上げた空には、欠けた月がおぼろげに光っている。 あぁ、そうじゃない…… 私の涙で、月が霞んでいく。 私は、ぽろぽろと落ちていく涙を拭うことなく、月から目をそらした。 まるで子どもの手を引くように、マスターは私の手を離さずにいた。 なんだか落ち着く……