スリッパの音をなるべく立てないよう、スリ足で廊下を歩く。 ふらふらと手すりにつかまりながら、一歩一歩進んでいく。 血が少ないからか、食事をとっていないからか、はたまたずっと横になっていたからか。 ふらふらするだけでなく、頭も働かない。 月の病室はどこだろう……? そんなことをぼんやりと考えていると、後ろから、戸惑いがちに声をかけられた。