孤高の狼に捧ぐ恋唄



「アイツも刺されていて……意識はまだ戻らないんだ」



そう言って、羽生さんは訥々(トツトツ)と事件の概要を教えてくれた。



「マスターからの通報でおれが駆けつけたときには、

お嬢さんが血を流して倒れているのを救急隊員が運ぼうとしているときだった」



羽生さんは両手を握り締めた。