7


ほどなくして、その時はやってきた。

夕刻を知らせる教会の鐘が、凛と冷えた空に鳴り響いた。

街灯に火が灯った。

僕はその淡い灯りに導かれるように、雨に濡れた石畳の街路を歩いた。

道行く人はまばらで、街は独特の情緒を醸し出しながら、僕たちの未来をひっそりと息を潜めて見守っているようだった。

「いよいよか」

と僕は独り呟いた。

僕の隣にはもう、シロナの姿はなかった。

だけど、これまでもそうだったように、彼女の温もりはまだ僕の側に感じられた。

『心配しないで』

とシロナは言った。

僕は、ただその言葉を信じて歩くより仕方がなかった。