「僕も大学を卒業してから海外に飛び出してね。」 車の中での話しの続きを、恭介さんは話し出す。 「放流の旅、とでもいうのかな。」 落ち着いて、優しい口調。 若いのに、しっかりした印象。 「でも気付かされたんだ。」 「何を…ですか?」 「自分が恵まれた環境でも、努力さえしたら道は拓ける、と。」 「………。」 「色んな場所に行ってね、苦しい環境でも強く意志を持っている子供達に出会ったんだ。」 また懐かしむような目。 「ショック…というか、いかに自分が小さい人間か思い知らされたよ。」