今度はひどく真面目な顔になる。
「なんでしょうか…?」
「私、いいのかな?」
「…とおっしゃいますと?」
質問の意味が、到底理解出来ない。
「私、働いてもいないのにこんな生活していて。…いいのかな?」
不安そうに私を覗き込む表情が、そこにあった。
普通なら、普通のお嬢様からは想像も出来ない質問だ。
夢叶様は世間の厳しさを知っている。
こんな時代の情勢を身に染みて。
今までに頑張ってこられた色々なことは、もちろん『生活』の為だったのだろう。
実を粉にして働かれ、学園では幼い子供達の為にたくさんの愛情とお世話を買って出ていたはずだ。
ここに来て180度変わってしまった環境に何かを感じられているのだろう。
「夢叶様。」
私はゆっくりと話す。
「今は、この生活に慣れることがお仕事だと思います。これからたくさんの人の中で、色々とご苦労されると思います。」
不思議顔の夢叶様に丁寧に説明する。
「パーティなど特別な場所に出掛けることもあるでしょう。夢叶様は御園グループの後継者なのですから。」

