自慢じゃないけど、携帯なんて持っていない。
今どき珍しい~って会社でからかわれていた。
「使い方を説明しましょう。」
ベッドに腰掛けていた私の前で、竹下さんはまた膝をついた。
「ここを押して、次にここを押しますと私に繋がります。」
なんだ、意外と簡単。
これくらいなら。
「では、私はこれで。」
このスイートルームにはもうひとつ、寝室が別にあるという。
竹下さんはそこで寝る、ということだった。
「話し相手が必要でしたら、携帯を遠慮なくお鳴し下さい。」
そう言ってドアを静かに閉めた。
…必要ないみたい。
高い天井も、弾むベッドも、間接証明もすぐに分からなくなった。
落ちて行くように、眠りについた。

