車がガタンと揺れる。
そのタイミングで向かい側にいた健斗さんが、私の隣りに座った。
そしてそっと膝の上にあった私の手に、大きい手を重ねた。
いつも安心をくれる、健斗さんの手。
何も言わず私の背中を押したり、哀しいときには慰めてくれる。
――顔を上げることが出来ないまま、泣き続ける。
健斗さんの胸に飛び込み大声で泣いてしまいたい。
でも…出来ない。
健斗さんだって、私の執事じゃなかったら…。
偽者の私のために、時間をかけさせてしまっている。
本当のお祖父さまの孫のためじゃなく、この私のために…。
健斗さんにも、もっと違う人生があるかもしれないのにー―。

