「お祖父…さま。」
泣いてはいけない。
泣いてはだめ。
シワだらけの大きな手が、私の頬を撫でる。
まだあったかいその手に自分の手を重ねた。
話したいことがたくさんある。
聞きたいことも、たくさん。
お天気の良い日に、ただお庭でお祖母さまの好きだったバラの花を眺めていたい。
何も望まない。
もう少し、あともう少しだけお祖父さまと一緒にいたい。
涙は止まることなく、ただ頬を伝う。
「…ゆ……。」
その手を重ねたまま、その声に耳を傾ける。
お祖父さまの唇に耳を近付けた。
絞り出すように、ゆっくりとお祖父さまは唇を動かす。
一言も聞き逃さないように、私の中の音を消した。
私は必死だった―――。

