「……ったく。家に迎えに行くって言ったのに」 呆れたように言いながら、奏汰はタバコを灰皿に擦り付ける。 「いくら近くだって言っても、危ないだろ?」 「大丈夫だよー。それにさ、家に迎えに来たら、お母さんが大変なことになるし」 「大変なこと?」 きょとんとしている奏汰に、あたしは家を出るときのことを話した。 お母さんが家に連れて来いって言っている、と。 「へぇ。おもしろいお母さんだなぁ」 あたしの話を聞いて、奏汰はまるで他人事のように笑った。 そして……。