奏汰から仕入れた情報はたくさんあるのに。 肝心なことが言えなくて言葉に詰まる。 「……ねぇ、柚? ちゃんと聞いてくれたんだよね」 嬉しそうに笑いながら、真菜はあたしの周りをじゃれる仔犬のようにうろうろする。 「うん。大学生で、車を持っていて……」 奏汰に関することを、淡々と真菜に伝えるけれど。 真菜はどれも興味がないという顔をした。 「もうっ。あたしが知りたいのはそういうことじゃなくて……」 うん、分かってる。 奏汰の彼女とか、好きな子とか、そういうことなんだ。 ――でも……。