――運命……。 奏汰の陳腐なセリフ。 先生ってば、なんで真剣に受け止めたんだろう。 「……先生、どうしちゃったのかな」 先生が立ち去ったあとの【来来軒】の前。 あたしがぽつりと呟くと、奏汰はしばらく言葉を返さなかった。 そして、ようやく口を開いた奏汰が、 「まぁ、運命ってのは俺も信じるけどさ」 はじめて見るマジメな顔つきで言った。