「遼ちゃんから聞いた。あの先生、遼ちゃんと知り合いみたいだぞ?」
「……うそっ!!」
そんなはずは……。
だって槙村先生……。
【来来軒】に行ったことはあるけど、大将のことは知らないって……。
奏汰の背中から、槙村先生の様子をうかがう。
槙村先生は、こっちに向かって真っ直ぐに歩いてくる……。
と思ったのに、先生の足取りは、【来来軒】のすぐ手前でピタリと止まった。
そして先生は、【来来軒】の裏のほうへと歩いて行ったんだ。
「なっ? 店の裏口の方に行っただろ?」
ほんの少しだけ勝ち誇ったように、あたしを見る奏汰。


