「……げっ……」
学校の正門から、眠そうにあくびをしながら出て来たひとりの男。
それは、あたしと【来来軒】を引き裂いた槙村先生だった。
咄嗟に、あたしは奏汰の背後に回り、槙村先生に見つからないように隠れる。
今日は日曜日で、ここにいたって何の問題はないんだけど……。
あたしの身体は、槙村先生から逃げることを覚えてしまっていたんだ。
「なに? あれって、おまえの学校の先生?」
「そう! 生徒指導の槙村先生」
「あぁ、あの人かぁ。おまえ、いっつもあの先生に呼び出しくらってんだろ?」
「……えっ? なんで知っているの?」
あたしが毎回のように槙村先生から呼び出しを受けていること。
【来来軒】のおばちゃんにでさえも話していないのに……。


