「あのっ……、【来来軒】のバイトの人ですか?」 思わず、彼に数歩近寄って聞いてみる。 彼はあたしが近づいた分だけ後ろに下がり、答えた。 「バイト……っていうか、手伝い」 「手伝い? バイトじゃなくて?」 「あぁ。ここ、俺の親戚がやってる店だから」 「……もしかして、大将!?」 素っ頓狂な声であたしが聞くと、彼は目を丸くする。 「遼ちゃんのこと、知ってるのか?」 「う、うん。一度会っただけなんだけど」