――五年後―― 「……お父さん。大丈夫?」 「……大丈夫。全っ然、緊張なんかしてないからな」 教会のドアの外で、何度も汗を拭うお父さんは、緊張しているとしか言えない。 介添スタッフの合図で、教会の重い扉が、ゆっくりと開かれる。 パイプオルガンの音色。 一斉にこちらを見る、参列者。 あたしは、純白のドレスの裾を踏まないように、お父さんとともにゆっくりと歩き始める。