『――諒子……』 両手で顔を覆って涙を流していると、どこからともなく、懐かしい声が私を呼んだ。 手を外して顔をあげると、そこには、あの頃のままの柚羽が立っていた。 「柚羽……――」 『……久しぶり。ちょっとオバちゃんになったね、諒子』 イタズラっぽく笑う、あの頃の柚羽。 「相変わらず……、あんたは成長してないわね」 『当たり前でしょ』 死んだ柚羽が、私の目の前にいる。 そんな非現実的なことに、私は驚くこともせず、ただ、懐かしい思いに駆られた。