抵抗するあたしと、連れて行こうとするお母さん。 力のかぎり反発し合うあたしとお母さんは、もみ合いになった。 「柚、いい加減に……」 「………っ!」 お母さんの手を強く振り払った瞬間、あたしは身体のバランスを失う。 「柚ちゃんっ!」 「村岡!」 先生やかんなさんの、悲鳴にも似た声が同時に聞こえた。 「柚ーっっ!」 自分の身体が宙に舞ったとき、あたしに手を差し伸べる奏汰の姿が見えた。