この店は何ひとつとして変わっていなくて。
あたしと奏汰を取り巻く環境だけが大きく変わってしまったから、この雰囲気に安らぎを感じる。
おばちゃんや、おじちゃんたちの騒ぐ声が聞こえてきたのか、奥の厨房から大将が顔を出した。
滅多に表に顔を出さないという、【来来軒】の大将。
大将は、手を振るあたしと軽く頭を下げる先生ににこりと笑うと、すぐに奥へと引っ込んだ。
周囲をキョロキョロと見渡すけれど、奏汰の姿はない。
「奏ちゃんを探しているのかい?」
落ち着かないあたしを見て、おばちゃんがニヤリと笑う。
「……うん。もしかして、休み?」
「いま休憩中だよ。二階の部屋でご飯食べているよ」
「二階……」


