「……柚! いま槙村先生から電話あったんだけど……」
「へっ? 先生から?」
慌しい年末。
お母さんと一緒に家中の大掃除をしていた時に鳴った、一本の電話。
その電話の主と話していたお母さんは、電話を切ったあと、少し眉を吊り上げてあたしのところにやって来た。
無駄に長い廊下にワックスをかけていたあたしは、お母さんの表情を見て、思わず息を呑む。
「あんた、今日は数学の補習日だったんですって?」
「数学の……補習?」
そんなの、あったっけ?
成績は一応クリアしていたから、あたしは補習グループの中に入っていなかったのに。
「なんでも今日は、テストがあったらしいわよ。で、再テストをするから、これから学校に来なさいって」


